現在30代子持ち主婦です。
旦那が一念発起して医師を目指し現在医師として働いています。旦那の再受験や医学生生活を支える希有な経験から、役立ちそうな情報を発信していこうと思いブログを開設しました。
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奨学金を受けたのは良いけど、民医連系の病院で研修をすると、今後の進路に影響が出る?

医学部受験の話

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「民医連 奨学金やばい」「民医連系の病院で研修って大丈夫?」という、サジェストをよく発見する機会がありビビってしまった、民医連系病院に研修経験がある旦那を持つ、妻です。奨学金を受けてしまったら最後、せっかく医師になったのにうまくキャリアが積めず終わってしまうのでは!!という恐怖を抱く学生の方が多いようです。果たして、実際に民医連系の病院で奨学金を借りることの何が問題なのかを、経験を交えてお話していこうと思います。

ちなみに旦那も私も無党派で、あくまで奨学金を利用するために民医連でお世話になりました。

なので、民医連の良し悪しを語るものではなく、『奨学金を利用したいけど実際はどうなんだろう』という心配をもつ方向けの話になります

研修医に向けた給付型奨学金制度を実施する民医連

研修医に向けた給付型奨学金を実施している病院の中で、民医連が運営する病院があります。

他には徳洲会などのグループをもつ大きい病院や、地域医療に力を注ぐ都道府県による制度や市中病院が運営する制度としてあります。

研修医に向けた給付型奨学金とは

研修医に向けた給付型奨学金とは

本記事で扱う給付型奨学金は、研修医として勤務することで奨学金の返済を行わずにすむ返還免除の規定をもつものになります。

民医連の奨学金の規定では、借りた金額や年数に応じて貸し付けた病院で働く期間(多くは初期・後期研修を含む最大6年間)が決まり、定められた就労期間を過ぎれば奨学金の支払いを免除されることを約束しています。条件や借りることができる金額は所属する地域や運営する病院によって異なっています。

民医連に関わらず給付型奨学金の制度を持つ病院で返済免除の条件に達しない場合、つまり必要な年数を満たす前に辞めたもしくは初めから病院に行かなかった場合、返済予定として残る金額は病院が定める期限内に一括返済を求められます

ただし、病院によっては一括返済の際に、無利子で良い場合と有利子で返済を求める場合もあり、初期研修の2年間は就労期間と認めず初期研修を終えてからカウントする場合もあるので、奨学金の条件・規定をしっかり確認してから決めてください。

ちなみにこういった給付型奨学金はお礼奉公にあたり違法になる?と気になったことがあるのですが、奨学金にの一括返還は、不履行による賠償金の請求をされているのではなく、あくまで借りたお金を返済する義務はあり、返済免除できる特例を設けているにすぎない、ということです。参考サイトはこちら

逆に、借りた額以上の金額を返還させようとしたり、こちらが不利益になる様な制裁措置をとってくる場合は法に触れる可能性があります。

なので、民医連に限らず奨学金を借りる時は、奨学金を借りた期間と額に対して返済に必要な就労期間がどのくらいになるかがしっかりと明記してあり、また離脱した場合の返済方法について確認できる病院で借りたほうがリスクは低いと思います。

民主医療機関連合会(民医連)とは

戦後に発足した医療機関で「いのちの平等」を理念としているため、大まかにいうと、ホームレスや低所得者でも十分な医療が受けられるようにする『断らない救急外来』、『災害救援』、『社会福祉と密に連携した医療の提供』、に力を入れた地域医療の体制をとっています。

全日本民医連

民医連については共産党が関与しており、医療に関する理念も「いのちの平等」をかかげているため、共産主義の思想を反映した運営になっています。

政治的思想が関わるため良く思わない人もあり民医連への評判は各人の価値観によるところが大きいです。けれど、医療を受ける地域住民にとってはなくてはならない病院であることも事実です。

民医連系の病院を研修先として選ぶ

民医連系の病院を研修先として選ぶ

今後のキャリアへの影響が心配される理由

ネットや実際に奨学金を受けた学生の中で心配されることが多いのは、

  • 政治色が強めである病院として世間的に認識されているので、医局などの入局や他の病院への就職に影響がでるのでは。
  • 政党関連の勧誘や思想の強制
  • 受けた奨学金の金額によっては最大6年以上は縛られることになるため、専門医取得や医局の入局など、希望したい進路に進めない。
  • ブラックな労働環境
  • 人脈は民医連関係者に限られてしまう。

大体このような感じで、共産党との関わりを懸念する悩み事が主です。

実際の民医連系の病院について

実際の民医連系の病院について

職場の雰囲気や働き方について

実際は政治的な思想を持って働くのは一部の人に限られており、ほとんどは他の職場と変わらずごく一般的な職員や医師・看護師の方ばかりです。地方の片田舎でもあるので、就職先として数少ない大きい病院を選んで働いているような感じです。

ただし、医師には課されてはいませんが、一般職員や看護師の方には組合員の勧誘活動などが課されている事があるようです。

労働環境については、人手不足や救急外来や往診などを積極的に受ける方針の病院でもあるので、比較的忙しい方になると思います。けれど、時間外などの手当はあり、当直翌日の休みや有給も比較的取りやすく、賞与や社会保険もあり、子育てに理解を示した柔軟な働き方も相談は可能であるため、福利厚生は比較的しっかりしている印象はあります。ただし、休みやすさや働き方への対応は医師の数に左右されるところなので、状況によっては難しい場合もあります。

ちなみに、政治色の強さはかなり地域や病院によります。

共産党の理念について教育する時間や集会を研修医に義務付けている病院と、全くと言ってもいいほど共産党関連の話題すら出ない病院もあります。

研修先として

研修先としてのレベルは、他の病院や地域によって違いがあるため一概には言えませんが、基本的には他の総合病院と変わらないように思います。

地域の中核的な病院として発展しているところは、診療科あたりの医師の人数は少なくはなく、専門医も在籍しています。また民医連の中には、カリキュラムなどの研修レベルが高い病院もあり、マッチング人気の病院もあります。

結局、研修先としての良し悪しは“病院による”ところなので、民医連だからというのは関係ないように思われます。

民医連系の病院を研修先として憂う必要はない

民医連系の病院を研修先として憂う必要はない

結論として、民医連だからという理由だけでキャリア形成に影響はありません。

国内留学を充実させて専門医も取得できるようにしている病院もあり、優秀な医師も多く在籍しています。

特に就労期間の定めがなければ、初期研修後に医局への入局も可能であり、他の研修先に移ることもできます。

どちらかというと、民医連だからというよりは、奨学金返済のための就労期間による“縛り”の方がキャリア形成に影響が出る可能性はあるといえます。

個人的な所感ですが、たとえ病院の意に反して離脱をする選択をとったとしても、奨学金の契約を交わした病院との問題として終始するため、他の進路変更に与える影響は無いです。

むしろ、医局が絡むため、『地域枠』による義務年限の不履行によるペナルティの方が、最悪、専門医を取ることができなくなる可能性があるためダメージは大きいです。

奨学金を借りたからといって、病院にしばられる必要はない

先程も述べた通り、民医連だからというよりも奨学金返済のために必要な就労期間の長さが、自身を縛り付けてしまったり希望する進路を阻む可能性はあります。

例えば、「奨学金返済のために働く年数」が自分にとって「マイナス」になるかどうかの見極めは重要だと思います。自分にとっての「マイナス」とはどんなものかは人によりますが、興味ある診療科を学ぶことができない場合や、人手不足や人員体制の問題など組織が脆弱なブラック環境で疲弊してしまう場合、後期研修以降まで渡る年数の縛りがあると専門医取得の制限(シーリング)にかかることもあります。

自分にとってマイナスになると分かった時点で、病院を変えるべき

給付型奨学金制度がある病院で、少なくとも民医連の場合は、借りたお金を綺麗に返してさえしまえば異論は唱えられません。

そういう意味では、比較的良心的な病院ともいえるかもしれません。

自分でこれ以上の在籍はマイナスにしかならないと思ったら、一括返済に踏み切ってもいいと思います。民医連の場合はほとんどの病院で、離脱した日から1年以内の猶予を設けてくれています。

民医連系の病院は比較的給与が高く賞与もあるため、返済分の金額を数年で貯金することも可能だと思います。また、足りない場合は銀行からの融資を受け、病院からではなく銀行への借金に代えてしまうのもひとつです。

まとめ

民医連の給付型奨学金制度を受ける時は、貸与条件や返済方法、特に所定の就労期間を満たさずに離脱する場合の処遇については、自身の首を締めてしまわないようにするためにしっかり確認しましょう。

医師としてのキャリアに民医連自体の影響はなく、むしろ奨学金返済のための就労期間による“縛り”のほうがことは大きいかもしれません。

自分にとってマイナスになるのであれば、奨学金の対価を労働として返還するのではなくお金で返していく手段に切り替えてください。

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