別の学部、大学院、就職後など様々な転機から、医学部再受験に挑む方は少なくありません。体力や時間などで劣っていても合格できるか不安な方のために「よくある失敗」「勉強法・戦略」「お金」「年齢」などの医学部再受験のリアルを合格者の声も交えて解説します。
これだけはやめとけ!医学部再受験でよくある失敗とその末路5選
①再受験の勉強が追いつかず、十分な学力が身につかない
当然ながら、再受験ともなると現役受験時代と比べてブランクがあり、現時点での自分の学力がどの程度か分かりません。
さらに、自分たちが高校時代に履修してきた科目の教育課程も変わっています。
現役受験生時代の知識を呼び起こすのはもちろんのこと昔とは違う現在の受験内容に対応していかなくてはなりません。
つまり学生時代の学力を超えるためにはハードワークが必要であり、何年単位で受かるかも想定せず、現在の自分の学力を理解した上で適切な受験勉強の方針を立てないといった漠然とした見立てで勉強をしていくと十分な学力が身につかず失敗します。
②医学部再受験にかかる費用の想定が甘い
再受験生の多くは親元から離れ、独立して生活しており、中には家族ができている方もいると思います。
仕事をしながらかどうかで受験期間中にかかる費用をカバーできるかどうかが変わるとは思いますが、特に仕事を辞めて受験勉強をする場合は生活費の他に、住民税や健康保険、年金などの税金も考慮しないといけません。
また忘れがちなのが、無事に合格した時の入学料と初年度の授業料で、こちらは待った無しで支払う必要があります。
例えば、国立の場合は入学金は28万円ほど、授業料は年間で53万円ほどで、最初の半年分に当たる前期授業料として27万円ほどは入学直後に支払わないといけません。
私立の医学部に関しては、ほとんどの大学は入学金が100万円以上で、年間の授業料は数千万円になります。
再受験するにあたって、生活費や参考書代・模試代・受験料・予備校代などの受験に関係する費用は想像がつきますが、税金や入学金などの費用も考慮して、あらかじめ細かいところまで想定しておかないと思わぬところでつまづきます。
③医学部再受験を機に人間関係が崩れる
再受験に関わらず、受験勉強となると自分以外のことに気をまわせなくなります。
限られた自分の時間を受験勉強に費やす必要があるため、職場の人や友人との付き合いが疎かになるし、自身の勉強の進捗度によってはメンタル面が仕事に支障をきたす可能性があります。
また、家族がいる場合は家事や育児はパートナーに頼りがちにもなるため、負担をかけてしまう可能性があります。
身近な人をなかなか大事にすることができない結果、自分から離れてしまう人が出てくることになります。
④戦略を決めずに、やみくもに医学部を受験する
ただ頭が良いから受かるというものではないのが医学部受験で、共通テストで自分がどれほどの点数をコンスタントに取れるのか、それに対して志望大学の受験科目のどの教科がどれほどの点数を取れるのか、そこから現状受かるためにどの科目・どの分野を強化すべきかなど、受かるために必要なプロセスと細かい目標設定がカギとなります。
また、先でも触れたように再受験生はブランクがあり教育課程の変化に対応する必要があります。
合格までの道のりを想定しないばかりか柔軟な対応をせず、「どこでもいいから医学部を受ける!」と目標だけを掲げ受験対策をすると失敗してしまいます。
⑤自分1人の力だけで受験に挑もうとする
予備校に通わず自力で合格するのは至難の業であり、最高に運が良かったか受験に対する天賦の才能があった人なので、独学や宅浪に固執すると失敗する可能性があります。
医学部に受かるために、限られた才能の持ち主である必要も、運を信じてギャンブラーになる必要もありません。
自分の受験勉強を客観的に観てくれることで、必要な対策を教えてもらう方がはるかに効率的で現実的です。
特に長らく受験事情に触れてこなかった再受験生であれば、なおさらオブサーバーを持つことは価値が高いはずです。
医学部再受験の受験方式!一般入試と学士編入どちらで挑むべき?
一般入試のメリット・デメリット – 大学生や新卒など、比較的若い再受験生に向いている!
一般入試は、共通テストの点数と大学の前期後期の2回ある二次試験(学力検査試験および面接など)の点数を評価して合否が決められます。
基本的に医学部受験で課される受験科目は、英語・国語・数学(ⅠA・ⅡB・ⅢC)・理科(生物・化学・生物)・社会の5教科7科目以上に渡ります。
メリット
「学生時代は理系だった、もともと勉強が得意だった」など、基礎学力がある場合は一般入試で受かる期待値が高いと言えます。
試験問題に対する正答があり点数で合否が決まるため、合格基準を満たす点数を取得するために必要な受験対策が明確であり立てやすいです。
国立大学や私立大学など医学部がある大学は全て実施しているため、受験候補としての大学の選択肢が多くなります。
私立大学であれば、受験開催日がそれぞれ異なるため、複数に渡って受験することができます。
デメリット
受験科目が多く、また国立大学・私立大学に関係なく出題される問題のレベルが高いため、戦略性を持った質の高い勉強を長時間こなす必要があります。
一般入試の開催日程は決まっており、共通テストは年に1回、国立大学はすべて同じ日に前期・後期試験が行われるため、受験できる回数が非常に少なくチャンスが限られます。
再受験生の場合は、後期試験で課せられる面接点が現役受験生より低く評価されることがあります。
再受験する年齢が若いほど、受験勉強に費やせる体力はもちろんのこと、現役受験生時代から離れている時間が短いため楽に記憶を呼び戻すことができ教育課程の変化が小さくてすむことから、一般入試のハードルが低くなります。
学士編入のメリット・デメリット – 20代中盤以降の社会人など、年齢が高い再受験生に向いている!
学士編入試験とは、4年制大学を卒業した人(または卒業見込みの学生)を対象した受験制度です。
受験科目数が少なく、小論文や面接が課せられることが多いです。
メリット
受験科目は、数学や高校生物・化学を土台として発展した生命科学が課せられることが多く、また小論文は医療関連をテーマに出題する事が多いため、医療関係者や獣医歯薬系の大学出身者であれば受験対策に取り組みやすいです。
試験実施日は大学によって異なるため、1年のうちに複数受験することができます。
デメリット
一般入試と比べて受験対策方法や参考教材に対する情報が少なく、また大学ごとに出題傾向が大きく異なり採点基準も不明瞭なため、受験対策を立てるのが難しいです。
特殊な受験制度なだけあって指導できる人は少なく、数少ない編入用講座をもつ予備校は受講料が高めに設定されています。
一般入試と比べて少ない勉強量ですむことや大学で生命科学に関連した専攻の経験があれば、社会人として働きながらでも数ある受験のチャンスを活用して合格を狙うことができるため、大学受験から長く離れていた人にはチャレンジしやすい受験スタイルといえます。
年配は不利になる?医学部再受験の現実・闇を暴く!
20代前半からの医学部再受験 – 努力さえすればチャンスは大きい!恐れず勇敢に挑戦しよう
この年代では、新卒で働き始めて数年の社会人か、もしくは学生からの再受験である方が多いと思います。
実際、20代前半の受験では浪人生も多く、医学部ともなれば6浪や7浪の人はそれなりにいます。
受験時代からのブランクは短く、体力や気力もまだまだ高いだけに勉強次第では学力の向上も期待できるため、一般入試や学士編入のどちらでも十分挑めるバイタリティがあるといえます。
20代後半〜30代前半からの医学部再受験 – 計画的な受験戦略が必要!自分に有利な戦い方を見極めよう!
一般入試においては、20代後半あたりから受験時代の記憶が薄れていたり教育課程の変化が大きくなっていたりと、受験生としてのブランクを感じ始めるところです。
また、現役受験生と比べて面接点が低く評価される可能性が大いに高くなります。
とはいっても、学士編入で入学される方が多い年代でもあるため、十分に医学部に入学することが可能な年代です。
一般入試を挑むか学士編入試験を活用するのか、それとも両方にチャレンジするかは、どういった試験方法に挑戦した方が自分に分があるかを見極めるためにも自己分析と情報量が勝敗を左右するといえます。
一般入試であれば、自分の受験時代の知識とのズレを埋めるためにも最新の受験情報を取り入れ、自身の試験問題に対する実力を正しく理解し、必要な勉強方法を探し出し実践するために情報戦が重要となってきます。
この年代の再受験生は一般入試後期試験における面接が低く評価される可能性が高いため、学士編入試験や共通テストや大学の個別学力試験による学力を問う試験で突破することが堅実です。
30代後半以上からの医学部再受験 – 将来まで見据えると、道のりは非常に厳しい。覚悟を決めて受験に挑もう!
医師免許取得に年齢制限はありませんが、最低6年間の在学に加え卒業後の数年に渡る研修期間と医師として自立できるくらいの実力がつくまでは基本的に所属医局や所属病院に従属する形となり、自身が望むような自由な働き方はなかなかできません。
さらに、専門医取得など医師になってからの道のりは果てしないです。
また、大学の試験や実習、卒業後の研修期間は若い人でもかなり体力と気力をすり減らします。
そういった厳しい環境下に耐えれるか自身の健康面や体力的な問題はもちろん、そう簡単に休ませてもらえる労働環境でもないために起こりうる親の介護問題など、なかなかプライベートな事情を優先できない将来を見据えた上での決断であれば再受験に挑む価値はあります。
この年代の再受験は、受験の知識や学力においてライバルとなる現役受験生と大きな差があることを自覚します。
また、一般入学や学士編入においても入学できた方は非常に少ないです。
一般入試に課せられる面接では振り落とされる可能性が高いため、学士編入試験か純粋に点数で合否が評価される一般入試の前期試験で合格を狙うことが最も現実的です。
医学部再受験の勉強方法!質問できる環境・添削がもらえる環境を用意しよう!
必ずしも大手や有名な予備校に通う必要はない
費用面がクリアでき受験に専念できる環境であれば、長年の実績を誇る大手の予備校であれば、確かに合格に近づくことができます。
けれど再受験ならではの問題として、費用面や両立可能な学習環境がツートップにあがるのではないでしょうか。
先でも触れたように、医学部に受かるために必要なプロセスと細かい目標を定めてそれに準じた勉強を継続することが重要であるため、それさえできるのであれば高い費用を捻出してまで予備校に通う必要性はないように思えます。
ただし、質問や添削を受けられる環境は必須!
一人で受験勉強をしていると必ず陥る問題があります。
それは「誰かに聞けない」ということです。
受験勉強していると必ず分からない問題が出てきますが、一人だとどうしても思考が固まり解決するまでに時間がかかります。
特に国立大の医学部となると受験科目が増えるため、高校時代に履修していなかった科目の勉強は独学だと正直きついです。
さらに、英語に関しては多くの医大で受験科目として課しており、文章の記述を求められることが必須となるため個人の学習では限界があります。
また、共通テスト・志望大学の学力テストの問題の流行りを分析して自分の勉強に取り入れることができるかが勝負でもあるため情報戦術が大事になってきます。
分からない問題を聞くことができたり受験情報のリサーチをしてくれる人がいると、必要以上に時間を割く必要がなくなり、その分勉強に時間を当てることができ効率が上がります。
現在は受験対策に対応したオンラインサービスも充実してきており、プロの講師が手掛けるものから現役医学生が対応するものまで様々です。
従来から受験対策として王道であった予備校に加え、時間や場所を選ばない必要な対策を必要なだけ提供してもらえる新しいコンテンツとしてオンライン予備校も一つの選択肢になるといえます。
医学部再受験を成功したから言えること
私は運良く再受験を成功したから良かったですが、失敗していたらどうなっていたか全く分かりません。何回も受けて沼にハマったかもしれないし、もしくはその失敗をバネに違う仕事を頑張っていたかもしれません。
再受験について色々述べてはいますが、正直安易におすすめはできないです。やっぱりリスクは大きいと思うからです。受かるかもわからないし、受かっても金銭的にペイできるかも分からない、生涯学習を要求される環境に疲れる、やってみたら案外理想と違って辞めたくなるなど行き先は不安だらけです。
とはいうものの、もし今周りに再受験する人がいたらやっぱり応援すると思います。相当な覚悟を持ってのチャレンジだと思うからです。
ちなみに私は再受験を決意した時こう思っていました
「やらない後悔より、やる後悔」
せっかくのチャレンジをムダにしたくない、だからこそしっかりとした分析、計画、実行が大事です。ですから自分の経験を皆さんにお伝えして、少しでも具体的な合格までのシミュレーションができたらうれしいなと思っています。
本サイトだけでなく、ぜひ色々な情報を集めて自分なりの道筋を見つけてください。
そしていつか同僚としてお仕事しましょう。
まとめ
戦略性を持って受験勉強に時間を費やすことで狙える一般入試の合格か、自身のアドバンテージを活用しチャンスの多さで挑む学士編入か、どちらを選択するにしても自己分析と正しい情報を集めることは共通して重要です。
医学部再受験は、挑み方で手痛い失敗を経験することもあるし、年齢によってはかなり厳しい戦いになります。
けれど、適切な受験対策に準じて努力を積み上げ続けることができるのであれば、誰にでもチャンスがあり成功する可能性があります。
戦略的に医学部に合格するために、予備校もしくは新たな選択肢としてオンライン予備校を上手に活用していくことは、大きな助けになることも忘れないでください。
私は『あの時』に行動したからこそ、充実した日々を送る『いま』に繋ぐことができました。
健闘を祈ります。
記事監修
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